訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「こっちのホットワインも美味しいよ。フルーツやスパイスが加わってるおかげか体が温まる気がする。亜湖ちゃんもこっち飲んでみる?」

「ありがとうございます。あ、本当だ、美味しい。シナモンが結構効いてますね。要さんもこっちのホットチョコレートどうぞ」

「ありがとう。確かにこれは濃厚だね。執筆中に行き詰まって、脳に糖分欲してる時にちょうどいいかも」

「あ~なんかそれ分かります。私も疲れた時は甘いもの欲しくなりますし。長時間フライトの時も休憩時間にチョコレート摘んでます。ていうか要さん、眼鏡曇ってますよ」

「あ、本当だ。寒空の下で温かいもの飲むと湯気でこうなりがちなんだよね」

この約2ヶ月半の間、週1回のペースで何度もデートを重ねてきたため、私と要さんは今や結構気心知れた仲だ。

恋人ではないけれど、普通に仲は良いと思う。

恋愛コンサルとして指摘している時以外は他愛のない話をしているが、不思議なことに話題は尽きないし、会話は途切れない。

男女の友情に近いものが育まれている気がする。

なにしろ私は完全に素だ。

取り繕わずに接することができる相手は、ものすごく楽だし、ものすごく貴重である。

 ……今思うと原稿の感想や恋愛コンサルを引き受けたのも、外面作らずにありのままで話せる相手と「もっと話したい!」って内心で思ってたのかもなぁ。

あの時、断ろうと思えばできたはずだ。

< 109 / 204 >

この作品をシェア

pagetop