訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「彼女を待たせているので失礼します」
1人で歩いていると、自分に自信のありそうな華やかに着飾った女性に声を掛けられるのだ。
それを最後まで聞かずにすげなく断り、俺は目的地に向かって脇目も振らずにまっすぐ足を進める。
そうして到着したカフェの中に入ると早々、俺の視線は知らない男に腕を掴まれている亜湖ちゃんの姿に釘付けになった。
微笑みを浮かべる亜湖ちゃんを見て、一瞬だけ知り合いかとも思ったが、すぐにそうではないことは分かった。
亜湖ちゃんの表情はいわゆる“作った外面”であったし、男に向ける眼差しは酷く冷めていたからだ。
その様子から亜湖ちゃんにとって望ましい状況でないことは見て取れた。
すると、腕を振り払おうとする亜湖ちゃんに対して男がなにやら必死の形相で言い募った。
「――――そんなあなただから僕は惹かれているんです! 僕は諦めません! 本気なんです!」
聞こえてきたのは最後の方の言葉だけだ。
でもそれだけでこの男が亜湖ちゃんを口説いているらしいことはハッキリ分かった。
その途端、俺は自分でも驚くほど無意識に体が動いていた。
亜湖ちゃんのことを恋人と呼び、男の腕を掴んで否応なく彼女から引き剥がす。
俺の登場が予想外だったのか呆気に取られた顔をする男を尻目に、俺は亜湖ちゃんの手を取った。
そしてそのままの勢いで彼女の手を引き、カフェから外へ飛び出した。
1人で歩いていると、自分に自信のありそうな華やかに着飾った女性に声を掛けられるのだ。
それを最後まで聞かずにすげなく断り、俺は目的地に向かって脇目も振らずにまっすぐ足を進める。
そうして到着したカフェの中に入ると早々、俺の視線は知らない男に腕を掴まれている亜湖ちゃんの姿に釘付けになった。
微笑みを浮かべる亜湖ちゃんを見て、一瞬だけ知り合いかとも思ったが、すぐにそうではないことは分かった。
亜湖ちゃんの表情はいわゆる“作った外面”であったし、男に向ける眼差しは酷く冷めていたからだ。
その様子から亜湖ちゃんにとって望ましい状況でないことは見て取れた。
すると、腕を振り払おうとする亜湖ちゃんに対して男がなにやら必死の形相で言い募った。
「――――そんなあなただから僕は惹かれているんです! 僕は諦めません! 本気なんです!」
聞こえてきたのは最後の方の言葉だけだ。
でもそれだけでこの男が亜湖ちゃんを口説いているらしいことはハッキリ分かった。
その途端、俺は自分でも驚くほど無意識に体が動いていた。
亜湖ちゃんのことを恋人と呼び、男の腕を掴んで否応なく彼女から引き剥がす。
俺の登場が予想外だったのか呆気に取られた顔をする男を尻目に、俺は亜湖ちゃんの手を取った。
そしてそのままの勢いで彼女の手を引き、カフェから外へ飛び出した。