訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「そろそろお腹も空いてきましたし、夜ゴハン食べに行きましょう。どこだったら予約なしで入れるかなぁ。クリスマスは和食が穴場って聞くし、クリスマスっぽくはないですけど、それでいいですか?」

息を整え、すっかり先程の出来事を終わったこととして処理したらしい亜湖ちゃんが話を切り替える。

俺はその問いかけに頷きつつも、さっきの男に1ミリも心を動かされていない様子の亜湖ちゃんに再び胸をなでおろした。

でも同時に思った。

今回はたまたま彼女の心に響かなかったようだが、次も同じだとは限らない、と。

 ……もしも亜湖ちゃんの心を掴むような相手が現れたとしたら……?

間違いなく今の俺とのこの関係には終止符が打たれるだろう。

彼氏もしくは想う相手ができた時に、亜湖ちゃんが他の男と恋人ごっこをする不義理を働くような女性とは思えない。

もう恋愛コンサルは引き受けられないと終了を通告されるはずだ。

その現実を今、俺は唐突に実感した。

 ……それは嫌だ。終わりが来るなんて考えたくもない。亜湖ちゃんを絶対に手放したくない。


その内なる想いが行動に現れたのだろう。

絶対に離さないと言わんばかりに、指を絡めて手を繋ぎ直す。

そして亜湖ちゃんの小さな手をギュッと握りしめた。

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