訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「ついにスキンシップ解禁ということですね? クリスマスに初めてってのはいいと思いますよ! 女心的にはキュンとくると思います」

そんな俺の衝動的な行動は、亜湖ちゃんに練習の一環だと解釈されたようだった。

恋愛コンサルモードに入った亜湖ちゃんは、俺の気持ちに気づくことなく、出来の良い生徒を褒めるが如く笑顔を浮かべる。

「あと、冬ならこういうのもおすすめですよ」

さらにそんな一言を告げて、亜湖ちゃんは繋いだ手を俺のコートのポケットに差し入れた。

その上、俺の方へ身を寄せて、ぴったりとくっつくように体を密着させてくる。

「どうですか? 寒くてもあったかくなるし、距離もぐっと縮まるから冬のデートで女心を掴めるはずです!」

いつも通りのテンションであくまで俺に女心を解説する亜湖ちゃんだが、一方の俺は平常心ではいられない。

気持ちを自覚して以降、今までなぜ気づかなかったのかと呆れ返るほどに亜湖ちゃんへの想いがとめどなく溢れ出す。

可愛くて、愛しくて、大事にしたくて。

 ……ヤバイ。思いっきり抱きしめてキスしたい。

身を焦がすような激しい衝動に、俺はその後亜湖ちゃんと解散するまで必死に耐え続けた。


◇◇◇


「――という感じで、とにかく亜湖ちゃんが可愛すぎてたまらないんだ」

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