訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
ここでベストセラーとなった『花山粧』の名作小説が生まれたのかと思うと感慨深い。

そしてデスクと同じくらい目を引くのが本棚だ。

「わぁ、さすが小説家。本がいっぱいありますね!」

まるで図書館に迷い込んだ気分になるほど、壁一面に天井まで何冊もの本が並んでいる。

 ……まさに“圧巻”の一言に尽きる!

「この辺りが俺の著書で、ここからこっちは別の小説家のものだよ。あとはビジネス書や漫画、それに雑多な参考書もある感じかな」

「ここだけで図書館開けそうですね」

「ははっ、さすがにそれほどではないよ。あくまで書斎レベルだからね。本屋にも敵わないし」

「そうですか? 十分すごいと思いますけど」

普段本を読まない私からすれば、家にこれほど本があるのが信じられない。

興味深く繁々と本棚を眺めていると、私はまたしてもふとアイディアが思い浮かんだ。

「そうだ、せっかくこれだけ本があるので、今日は読書して過ごすのはどうですか?」

「亜湖ちゃん本はほとんど読まないって言ってなかったっけ?」

「そうなんですけど、だからこそ良い機会かなと思って。それに要さんの書いたミステリー小説も一度読んでみたいですし。ほら、私って要さんの作品といえばあのボロクソ言った恋愛小説って印象ですから」

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