訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
2人ともソファーに座っているため、身長差が小さくなり、その分顔と顔が近いのだ。

それこそ少し顔を近づければ、このまま亜湖ちゃんの赤く色づく瑞々しい唇に触れてしまえそうである。

しかも視界に入る亜湖ちゃんの眼鏡姿も凶悪的に可愛い。

思わずゴクリと喉が鳴る。

たぶん理性をぐらぐら揺らしながら、無意識に熱く亜湖ちゃんを見つめてしまっていたのだろう。

ふいに耳に響いた俺の名を呼ぶ声にハッと意識を取り戻した。

 ……危なかった。


内心で冷や汗をかく。

しかしながら、いまだに亜湖ちゃんに触れたい衝動は燻っていた。

抱きしめたい、口づけしたいという情動をなんとか抑えてつけ、俺は苦し紛れに彼女の髪に触れ、その髪を耳にかけた。

一瞬だけ指が彼女の耳に触れる。

それにビクリと小さく身じろぎした亜湖ちゃんの様子が情事を思い起こさせ、反射的に下半身が熱くなる。

このままではキスどころか強引に押し倒してしまいそうだ。

正直なところ、俺は今までこんなに強い性衝動を感じたことがなかった。

交際していた女性達とそういった行為はしたが、なんとなく流れでというか、相手に求められてという感じだった。

相手を押し倒して無理矢理でも抱きたいと思ったことなどない。

 ……これが“タガが外れそうになる”という状態なんだろうな。

表現として知っていた言葉が今まさにぴたりと当て嵌まった。

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