訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
そんな今にも理性が本能に負けてしまいそうになっている現状だったが、そんな俺を冷静にさせたのは他でもない亜湖ちゃん自身だった。

「すごいです、要さん。髪を耳にかけられたのはドキッとしました! 女性は不意打ちに弱いんです。今のは間違いなく女心をガッチリ掴めると思います!」

こんな明るい声が耳に飛び込んできた瞬間、煮え滾っていたものが即座にスッと鎮まった。

なぜなら亜湖ちゃんが今この時も恋愛コンサルモードでいることが分かったからだ。

今日も今日とて、出来の良い生徒を褒めるかの如く微笑んでいる。

「それにしてもここ最近の成長ぶりはすごいですね。確実に女心を理解してきていると思います。思ったのと違ったなんてもう二度と女性に言われないはずです!」

重ねて褒められても全然心に響かない。

今や一般的な女心なんてどうでもいい。

俺はただ、たった1人の心――亜湖ちゃんの心だけを掴みたいのだ。

だから本音を滲ませて答える。

「そうかな。……でも俺が想いを寄せる人には通じていなさそうなんだけど」

“想いを寄せる人”と言葉にしながら、それが目の前にいる君だと遠回しに訴えかけた。

果たしてそれが亜湖ちゃんに伝わったかどうかは不明だ。

だが、それとなく反応を窺う俺に対し、彼女は思わぬことを続いて口にした。

恋愛コンサルを引き受ける時に提示された条件についてだった。

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