訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
なんで私のお見合いを知っているのかとか、どうしてこの場所が分かったのかとか、聞きたいことはたくさんあるけれど、このクソみたいなお見合いから脱出できるなら今はなんだっていい。

私は要さんに向かって、意志を込めて力強くコクリと頷いた。

 ……よし、全力で要さんのすることに乗っかっちゃえ!

そう決意を固めるやいなや、要さんは私を椅子から立ち上がらせる。

「すみませんが、亜湖ちゃんは俺が心から愛する唯一の恋人なので、返してもらいますね?」

そして私を腕の中にギュッと抱きしめると、菅野さんに向かってそんな台詞を言い放った。

 ……ちょっと、要さん!? いくらなんでも全力すぎない!?

好きな人にいきなり抱きしめられ、愛する恋人だなんて言われて、動揺するなという方が難しい。

私は声が出そうになるのを必死に押し留めた。

度肝を抜かれたのは私だけではない。

いきなり現れた男にお見合い相手を奪われかけている菅野さんもだ。

「なっ……! おいおい、嘘だろ? せっかくスイート予約したのに金の無駄になんじゃん! つーか、そんな遊びまくってそうなイケメンと付き合ってるってことは、亜湖ちゃんも可愛い顔して実は相当ヤリマンなんじゃん? ……今夜だけ俺に奉仕してくれたら見合いの件はチャラにしてあげるよ? どう?」

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