訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
 ……はぁ!? この人、お見合いを合コンやナンパかなんかと勘違いしてんじゃない? ヤリ目なのが見え見えだっつーの!

あまりにも自分勝手な菅野さんの言い分に開いた口が塞がらない。

しかも私のことを貶すだけならいいけど、要さんのことまで悪く言っていて無性に腹が立った。

要さんは遊びまくるどころか、将来の恋人のために女心を理解しようと真摯に学んでいる人なのに。

沸々と私の中で怒りが沸き起こってくる。

要さんが菅野さんに向かって何か言い返そうとする気配を感じ、私はすかさずそれを手で制した。

そして自分の口でハッキリ言ってやった。

「はぁ!? 私の恋人を侮辱すんな! それに誰があんたみたいな男、相手にするかっつーの! お金を積まれてもお断り! 大体お見合いの時に体の相性なんて普通確認しないし! たとえそれがスイートでも嫌だし! マジでキモすぎっ!」

取り繕った笑顔も態度もすべて取っ払い、私は『グチグチノート』同等のストレートさで菅野さんに言葉を投げつけた。

私の変貌ぶりに要さんが現れた時以上に衝撃を受けたらしい菅野さんは、ショックで茫然自失としている。

これで菅野さんは「理想の女の子」と評した私への幻想をズタズタにしたことだろう。

固まったままの菅野さんを尻目に、私は再び完璧に作り上げた愛され笑顔を浮かべる。

「それじゃあ、私達はこちらで失礼しますね! お会計は私の方で済ませておくので、菅野さんはどうぞごゆっくりお過ごしになってください!」

ダメ押しにニコッと微笑みかけると、菅野さんは不気味な物を見たとでも言わんばかりに、顔を盛大に引き攣らせた。

その隙に私は要さんの手を取り、さっさとこの場を後にしたのだった。


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