訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
 ……無理ッ! 絶対に無理、無理! さすがにベッドの上に並んで座るとか意識しちゃって話どころじゃなくなる……!

心臓に悪いシチュエーションに腰が引けて、無意識にベッドから距離を取ろうとしてしまう。

すると次の瞬間、それを阻止するように要さんが私の手を引き、自分の方へ引き寄せた。

そして立ったままの私のお腹辺りに顔を埋めながら、腕を背中に回し、離さないと言わんばかりに私をギュッと抱きしめた。

「要さん!?」

「ごめん、もう我慢の限界」


 ……限界って何が!? 私の方がおかしくなりそうなんですけど……!

突然のハグに私は動揺を隠せない。

立ったままの私に抱きつく形のハグは、なんだか要さんが甘えているようにも見えて、絶妙にキュンときた。

眼下に広がる、くせ毛風のパーマがかかった髪を思わず撫でたくなる。

「はぁ~、お見合いが終わるまでに間に合って良かった。亜湖ちゃんスイートルームに連れ込まれそうになってるし。本当に焦った」

心の底から安堵を滲ませている声に、私はやっぱり要さんは何事にも真摯だなと感心する。

私の望みが『本意ではないお見合いを潰して欲しい』だと導き出し、それを達成するために頑張ってくれたのだろう。

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