訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
あのお見合いを抜け出してから怒涛の展開すぎて、すっかり頭から抜け落ちていた。

確かに要さんの言う通りだ。

私は慌てて鞄からスマホを取り出す。

案の定、父から数十件の着信履歴が残っていた。

 ……ゲッ、やっちゃった……! ううっ、これはお冠かも。

スマホを見つめて顔を青くする私とは反対に、要さんはこんな事態を予期していたのか実に落ち着いていた。

どう対処しようと頭を悩ませる私に真面目な顔をして告げる。

「よし、亜湖ちゃん。一緒に親御さんへ挨拶に行こう」

「要さん?」

「今から電話して、親御さんの都合のつく日を聞いてくれない? 俺は新作も書き上がったし、いつでも大丈夫だから」

「えっ、でも。そもそも私の問題ですから、要さんは行く必要ないと思いますけど」

「いいから、いいから。俺も亜湖ちゃんと一緒にお見合いの件、謝罪したいから」

さぁ早くと促され、私は要さんの見守る中で父へ折り返しの電話をかけ始めた。

なにかと多忙な父へは普段めったに電話は繋がらない。

大概の場合は留守番電話だ。

だというのに、こういう時に限って父はワンコールで即電話に出た。

「亜湖! お前、今どこにいるんだ! 何度電話しても繋がらずに心配したんだぞ! しかも菅野から連絡が来たが、お見合いを途中で男と抜け出したというのは本当なのか!?」

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