訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
今までの彼女達が「思ったのと違った」と要さんを振ったのとは真逆の現象が私には起きている気がした。

こうも一方的に翻弄され、なんとなく悔しくなった私は、ついつい意地悪なことを口走る。

「いいんですか? 今すぐ私の実家に行くなんて、面倒くさがり屋な要さんには相当面倒なことだと思うんですけど。無理しなくていいですよ?」

「不思議なことに、亜湖ちゃんのためなら全く面倒に思わないんだよね。俺って面倒くさがりなんじゃなくて、ただ単に本当に好きな女性と巡り会ってなかっただけなのかも。どう思う、亜湖ちゃん?」

「―――ッ!」

結局、絶妙に甘い台詞をサラリと笑顔で返されて、私は頬を染めながら絶句した。

 ……恋人になった要さん、破壊力が天元突破しちゃってるってば! もう私、どうにかなりそう……!

その後、私の反応がお気に召したらしい要さんから耳元で「可愛い」を連呼されて、再び熱烈な口づけをお見舞いされた私は、実家へ行く前からへろへろになったのだった。


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