訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「えっと、お見合い時点では本当にお付き合いしている人はいなかったんです。嘘はついていません。要さんとは、その……昨日、お見合いを抜け出した後に恋人になりまして」

「なんだと!?」

「まぁ! なんてロマンティックなのかしら!」

この期に及んで隠し立てする気もなかった私はありのままを素直に白状した。

さすがに要さんと昨日恋人になった(くだり)は両親を驚かせてしまったらしい。

ただその反応は真逆だ。

父は唖然とするような、母はうっとりするような表情をしている。

「菅野からは恋人と名乗る男が現れたと聞いたが、つまり見合いの場ではそう偽って抜け出し、その後本当に言葉の通りとなったわけか?」

「まるで物語みたいだわぁ! 素敵じゃないの」

テンションの全く違う父と母を前にして私は若干戸惑いながら、とりあえず父の問いに肯定を示すため頷いた。

一応あの日の状況を理解したらしい父は眉根を寄せて軽くため息を吐く。

そして頭の痛そうな顔をしてボヤいた。

「ではこちら側の都合により、相手側へ不誠実を働いたわけだな。菅野には改めて詫びを入れねばならんな」

政治家として菅野さんのお父様より父の方が立場が上とはいえ、非があるのはこちらだ。

もしかするとお詫びをする際に、何か融通を効かせる等の政治的な取り引きが発生してしまうのかもしれない。

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