訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「彼はスイートルームを予め予約していたようですから、記録を調べれば私の話が事実か確証を得て頂けると思います」

「なるほど。すぐに確認するよう秘書に指示しよう。……ふむ、こうなってくると完全にこちらの非といわけでもなさそうだな」

「だから亜湖は、あの場にいるのが耐えられなかったと先程言っていたのね。そんなピンチに駆け付けてくださるなんて、やっぱりロマンティックだわぁ!」

気づけば、いつの間にか応接室に流れる空気感が完全に変わっていた。

最初ここへ足を踏み入れた時には私を詰問する様相だった父も、今や私の行動に一定の理解を示して厳しい表情を和らげている。

一方母は最初からにこやかだったが、ますます目の輝きが増して変な方向へヒートアップしているような気配がする。

2人に共通しているのは、興味の対象が「お見合い」から「要さん」に移ったことだ。

 ……要さんスゴイ! 突然自ら発言したかと思ったら、見事に両親の興味関心を引きつけちゃった!

もしかすると実家に行くことになった時から、誠実さに欠けるお見合い相手の言動を報告すれば、ある程度理解が得られると算段があったのかもしれない。

だとしても、政界の大御所である父に対して、このそつのない見事な立ち回りは素直にすごいと思う。


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