訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「それで葉山くん、だったかな。亜湖の恋人になったということだが、君はどれくらい本気なんだ? 君は容姿が良いから女性が放っとかんだろ? まさかうちの亜湖は遊びだとは言わんな?」

私が手放しで要さんに感心していると、父はここで完全に話を切り替えた。

今度は要さんに威圧的に鋭い視線を向け、私の相手として相応しいのかを見定め始めたのである。

政治家特有の挑戦的な口調に私は肝を冷やす。

要さんが不快な思いをしていないか心配になり、そろりと隣を盗み見た。

だが、私の心配は杞憂だったようで、要さんは変わらず端正な顔に微笑みを浮かべている。

そのことに安堵してふっと肩の力を抜いたその瞬間。

要さんのサラリと繰り出す爆弾発言がここでも飛び出した。

「もちろん本気ですし、亜湖さんは私の最愛にして唯一の恋人です。昨日交際を始めたばかりですが、いずれ結婚したいと真剣に考えています」

「まぁ!」

「ほぅ」

 ……えっ! 最愛にして唯一の恋人!? それに結婚!?

初めて耳にする単語に私はものすごく面食らった。

でも要さんの台詞を頭に中で反芻する度に、じわじわと胸に嬉しさとくすぐったさが押し寄せてくる。

「葉山くんの真剣さは分かった。わしに対してこうもはっきり怯むことなく言い切るとは、今どきの若者にしては肝が据わっているな。……ふむ、結婚か」

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