訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
要さんの発言を受けて父は、なにやら一人で思案し始めたようだった。

その姿が目に入ると、今この時に私もハッキリ自分の思いを口にしなければ、という衝動に駆られた。

お見合いを避けたい意向も私がやんわり伝えたから父には正確に伝わっていなかったのだ。

要さんとの結婚云々はさておき、政略結婚はしたくないと一度ハッキリと意思を示しておくべきではないだろうか。

私は決意を込めて顔を上げ、父を真っ直ぐに見据える。

「お父様、結婚に関連して、実はお伝えしておきたいことがあります!」

「亜湖がそれほど強い瞳でわしを見るのは珍しいな。なんだ? 言ってみなさい」

「……私、政略結婚はしたくありません。来栖家の娘に生まれた以上、お兄様やお姉様と同じようにお父様が決めた相手と結婚することが求められているのは理解しています。でも結婚は自分の決めた相手としたいです」

兄の妻は、お父様の盟友と言われる政治家の娘。

姉の夫は、政界へも影響力がある大企業の次期社長。

どちらもお見合いからの結婚と聞いているし、明らかに政略結婚だ。

いずれ自分も同じようになる運命(さだめ)だとずっと諦めてきた。

できる限り長く回避しようとは思っていたけど、父の判断に逆らう気はなく、最終的には仕方ないとこれまではそう思ってきた。

ただ、今は不思議と従順に受け入れられない自分がいる。

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