訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「ですね。恋人っぽくデートする感じになると思うんですけど、どこまで恋人らしさを再現するのか決めておきたいです」

「スキンシップなしでどう?」

「それだと女友達と変わらないし、彼女の扱いにならなくて指摘できなくないですか? 手繋ぎまではオッケー、ハグやキス以上はなし、でどうですか?」

「えっ、逆に来栖さんはそれで大丈夫なの? というかこれを確認するのは今更すぎるけど、来栖さんって彼氏はいないの?」

「ほんっっと今更ですね。頼む前にまずそこ確認すべきですよ! まぁ、いないから問題ないですけど」

若干呆れた顔で葉山さんを見返してしまった。

葉山さんって確かにちょっと抜けてるというか、鈍臭いところがある気がする。

まだ会って2回目だけど、こんな短期間でもイメージとのギャップを私が感じるくらいだから、彼女だった人は尚更に違いない。

私の場合は事前に聞いていたし、葉山さんに対して過剰な期待もなにもないから別にいいけど、葉山さんにゾッコンで付き合う前から夢を抱いている女性は落差を感じやすいのかもしれない。

 ……これは恋愛コンサル始めたら、ツッコミまくりになるかもしれないなぁ。


そんな予感が止まらない、葉山さんとの2回目の邂逅日。

最後に初回コンサル日の日程調整を行い、ようやく解散となった。

原稿の感想を伝えるところから始まった『珈琲ろまん』での会合は、気づけばトータル4時間にも及んでいたのだった。


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