溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
あの日から、彼の「真白」は特別な響きを持つようになっていた。
「この前のスケッチ、見てみますか?」
そう言って差し出されたキャンバスには、やわらかな金色の光に包まれたテーブルと、その向こうに立つ自分の姿が描かれていた。
「……これ、わたし、ですか?」
「ええ。あなたが“光の方を向く瞬間”を描きたかったんです」
神城さんは穏やかに微笑む。
その言葉に、胸の奥が少し熱くなった。
「……すごく、温かい絵ですね。わたしだなんて思えないくらい、さすがです、神城さん」
正直に言うと、彼は小さく頷いた。
「あの、ずっと思ってたんですけど――僕のことも、名前で呼んでください」
「え?」
「僕は真白って呼んでるのに。神城さんって呼ばれたら、距離を置かれてる気がして……」
「でも……」
「“煌”って。呼んでみてください。真白にはそう呼ばれたい」