溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
「まあ……そうです」
「ちょ、ちょっと……!」
わたしが慌てるのもお構いなしに、煌はさらりと答えてしまう。
篠原さんは目を丸くしたあと、にやりと笑った。
「やっぱり。なんだか顔つきが変わった気がしましたよ。よかったですね」
「ありがとうございます」
顔が熱くなるのを誤魔化すように、わたしはお菓子の皿を持って立ち上がった。
「よかったら、これ……焼き立てなんです。どうぞ」
「お、いただきます。いい香りだ」
篠原さんが手を伸ばした、そのとき――
「……ちょっと待ってください」
煌がすっと間に入った。
「篠原さんに、真白のお菓子はあげません」
「え?」
「真白が作るお菓子は、僕だけのものです。他の男に食べさせたくない」
「……ちょ、煌っ!」
思わず声を上げたが、彼はまったく悪びれない。
むしろ楽しそうにわたしを引き寄せる。
「こういうところ、独占欲強いんですよね」
と篠原さんが苦笑する。
「知ってます。だから、見ないでください」
煌はわたしを後ろから抱きしめ、その肩に顔をうずめた。