溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
彼は静かに笑った。
「やっぱり……おねーさんのケーキが食べたいです」
言葉の意味がわからなくて、思わず視線を上げる。
その目は真っ直ぐで、冗談の欠片もなかった。
(どうして、そんなふうにまっすぐ見られるの――)
「また、来てもいいですか?」
思わず、息をのんだ。
なんて答えればいいかわからなかった。
「……お店が、開いてるときなら」
やっとそれだけ絞り出すと、彼は嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、また来ます」
その言葉を残して、彼は軽く会釈し、静かに店を後にした。
カラン――。
ドアの鈴の音が遠ざかっても、胸の奥で鳴りやまない鼓動だけが残った。