秘書の想いは隠しきれない
秘書、辞めます
「ありがとう。遅くなってごめんね。もっと早く片付けて、花蓮さんに告白したかったんだけど」
私の秘書としての時間は、私を成長させてくれたかけがえのない時間だったんだと思う。
「私、これからは秘書じゃなくて、彼女として社長のことを支えていきたいです」
秘書の仕事は好きだ。社内恋愛は禁止ではないけれど、きっと良く思わない社員もいると思う。
せっかく神木社長は会社のためを思って頑張っているのに、私が会社にいるせいで悪い評価になるのも嫌だ。
社長は寂しそうな顔をしたあと
「俺は花蓮さんの気持ちを大切にしたい。秘書としての花蓮さんを見れなくなるのはちょっと寂しい。だけど普通の女の子として、これからはいろんな花蓮さんを見せて」
「はい」
返事をすると
「彼女として支えてくれるんなら、もう俺のことは名前で呼んで」
ニコッと彼は笑い、私を試しているようだった。
名前で呼ぶ……。社長じゃなくて、名前。
「わかりました」
コクっと頷くと
「じゃあ、さっそく練習してみて?花蓮」
かれんって、言ってくれた!!呼び捨てだ!
やばいやばいやばい、心拍数があがる。
「ねえ、聞いてる?花蓮」
あああああ、どうしよう。
何回でも聞いていられる。好きな人に名前を呼んでもらうって、こんなに幸せなんだ。
「あさひ……さん」
震える声で彼の名前を呼んだ。
「もう一回言って?」
「朝陽さんっ!」
その瞬間
「んっ……」
チュッと唇に感触があって、目の前に社長の綺麗な顔があった。ゆっくりと唇が離れる。
「花蓮が可愛すぎるから」
そう言う朝陽さんの顔も赤くなっている。
「朝陽さん、好きです」
ギュッと彼に抱きつくと
「俺も花蓮のことが大好き」
密着しているからか、朝陽さんの鼓動が聞こえた。
朝陽さんの胸の中は、ドキドキして、だけど、落ち着く。ずっとこうしていたいって思う空間だ。
一カ月後――。
「ただいま」
「おかえりなさい」
仕事から帰ってきた朝陽さんを出迎える。
現在朝陽さんとは同棲中で、私は神木商事の秘書を辞めた。来週からは違う会社にアルバイトとして勤めることになっている。
神木商事で経験したスキルを忘れたくはないと朝陽さんに相談をしたところ「花蓮の気持ちを優先するよ」朝陽さんは私のことを応援してくれた。
「花蓮、こっちにきて」
「どうしたんですか?」
彼の隣に座ると
「充電時間」
そう言って、彼は私を抱きしめた。
お互いに隠していた気持ちが今は繋がって、こんなにも尊い時間を過ごすことができている。
まさかずっと憧れていた人が私に抱きついているなんて、今でも夢じゃないかって思うこともあるけれど、朝陽さんはいつも<夢じゃないよ>って伝えてくれる。
これからは一番近い場所で、私が彼を守っていくと決めた。
私の秘書としての時間は、私を成長させてくれたかけがえのない時間だったんだと思う。
「私、これからは秘書じゃなくて、彼女として社長のことを支えていきたいです」
秘書の仕事は好きだ。社内恋愛は禁止ではないけれど、きっと良く思わない社員もいると思う。
せっかく神木社長は会社のためを思って頑張っているのに、私が会社にいるせいで悪い評価になるのも嫌だ。
社長は寂しそうな顔をしたあと
「俺は花蓮さんの気持ちを大切にしたい。秘書としての花蓮さんを見れなくなるのはちょっと寂しい。だけど普通の女の子として、これからはいろんな花蓮さんを見せて」
「はい」
返事をすると
「彼女として支えてくれるんなら、もう俺のことは名前で呼んで」
ニコッと彼は笑い、私を試しているようだった。
名前で呼ぶ……。社長じゃなくて、名前。
「わかりました」
コクっと頷くと
「じゃあ、さっそく練習してみて?花蓮」
かれんって、言ってくれた!!呼び捨てだ!
やばいやばいやばい、心拍数があがる。
「ねえ、聞いてる?花蓮」
あああああ、どうしよう。
何回でも聞いていられる。好きな人に名前を呼んでもらうって、こんなに幸せなんだ。
「あさひ……さん」
震える声で彼の名前を呼んだ。
「もう一回言って?」
「朝陽さんっ!」
その瞬間
「んっ……」
チュッと唇に感触があって、目の前に社長の綺麗な顔があった。ゆっくりと唇が離れる。
「花蓮が可愛すぎるから」
そう言う朝陽さんの顔も赤くなっている。
「朝陽さん、好きです」
ギュッと彼に抱きつくと
「俺も花蓮のことが大好き」
密着しているからか、朝陽さんの鼓動が聞こえた。
朝陽さんの胸の中は、ドキドキして、だけど、落ち着く。ずっとこうしていたいって思う空間だ。
一カ月後――。
「ただいま」
「おかえりなさい」
仕事から帰ってきた朝陽さんを出迎える。
現在朝陽さんとは同棲中で、私は神木商事の秘書を辞めた。来週からは違う会社にアルバイトとして勤めることになっている。
神木商事で経験したスキルを忘れたくはないと朝陽さんに相談をしたところ「花蓮の気持ちを優先するよ」朝陽さんは私のことを応援してくれた。
「花蓮、こっちにきて」
「どうしたんですか?」
彼の隣に座ると
「充電時間」
そう言って、彼は私を抱きしめた。
お互いに隠していた気持ちが今は繋がって、こんなにも尊い時間を過ごすことができている。
まさかずっと憧れていた人が私に抱きついているなんて、今でも夢じゃないかって思うこともあるけれど、朝陽さんはいつも<夢じゃないよ>って伝えてくれる。
これからは一番近い場所で、私が彼を守っていくと決めた。


