無自覚悪役令嬢と婚約式
「よかった……!」
またぱあっと顔を輝かせて、ハンナは全開の笑顔をメイナードに向ける。それに対して、彼は更に顔を赤くした。
「あなたも辛いとは思うけれど、祝福する意思を決めてくれて嬉しい! エミリアをあなたのお嫁にあげる訳にはいかないけれど、メイナードにもきっと幸せがくるわ。大丈夫よ! 私も応援するわ!」
ハンナは大事な友人の幸せを心をから祈る。その彼女に対して、メイナードは深々と溜め息を吐いた。その溜め息をハンナはどう受け取ったのか、急に慌てたようにメイナードの手を両手で包んで励ますように顔を覗き込んだ。
「……ショックよね、そうよね。好きな人が婚約するのだもの、そんなすぐに次のことなんて考えられないわよね。ごめん……」
労わるように声をかけるハンナだが、しかし、彼女の懸念は見当はずれである。
「そうじゃない、ハンナ……俺は」
どう説明すべきか迷って、メイナードは先ほどはすんなりと出た言葉が、急に喉につっかえた。
『エミリアの幸せな結婚』に転生したハンナは、前世で家族の愛に餓えていた。天涯孤独の身で育った彼女は、愛を注ぐことのこできる家族を切望していたのだ。転生したばかりの彼女には、両親はいたが妹がいなかった。七歳の頃になって妾の子として現れたエミリアのことを、ハンナは虐めるどころか、可愛い妹ができたと言って歓迎したのである。つまり、ハンナはそれはもう溺愛した。妾の子だと言ってエミリアのことを母が目の敵にするのを全力で守った上、ハンナは二人を和解させたため、今のガードナー家は仲良し家族である。自分らしく気ままに暮らしてきたハンナは、可愛い可愛い妹の幸せを願ってやまない姉として暮らしてきたというわけだ。
またぱあっと顔を輝かせて、ハンナは全開の笑顔をメイナードに向ける。それに対して、彼は更に顔を赤くした。
「あなたも辛いとは思うけれど、祝福する意思を決めてくれて嬉しい! エミリアをあなたのお嫁にあげる訳にはいかないけれど、メイナードにもきっと幸せがくるわ。大丈夫よ! 私も応援するわ!」
ハンナは大事な友人の幸せを心をから祈る。その彼女に対して、メイナードは深々と溜め息を吐いた。その溜め息をハンナはどう受け取ったのか、急に慌てたようにメイナードの手を両手で包んで励ますように顔を覗き込んだ。
「……ショックよね、そうよね。好きな人が婚約するのだもの、そんなすぐに次のことなんて考えられないわよね。ごめん……」
労わるように声をかけるハンナだが、しかし、彼女の懸念は見当はずれである。
「そうじゃない、ハンナ……俺は」
どう説明すべきか迷って、メイナードは先ほどはすんなりと出た言葉が、急に喉につっかえた。
『エミリアの幸せな結婚』に転生したハンナは、前世で家族の愛に餓えていた。天涯孤独の身で育った彼女は、愛を注ぐことのこできる家族を切望していたのだ。転生したばかりの彼女には、両親はいたが妹がいなかった。七歳の頃になって妾の子として現れたエミリアのことを、ハンナは虐めるどころか、可愛い妹ができたと言って歓迎したのである。つまり、ハンナはそれはもう溺愛した。妾の子だと言ってエミリアのことを母が目の敵にするのを全力で守った上、ハンナは二人を和解させたため、今のガードナー家は仲良し家族である。自分らしく気ままに暮らしてきたハンナは、可愛い可愛い妹の幸せを願ってやまない姉として暮らしてきたというわけだ。