乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
「えっええええ? ゲームだったんじゃないんですか!? ここ現実なんですか? ゲームじゃなくて!? ゲームだから生き残れてたんだと思って……えっ? どういうこと? 本当だったの?」

 取り乱して叫ぶのに、つい笑ってしまう。

 私が引き起こしてしまった事態なのに、彼女の反応が可愛くて笑いが止まらない。

「何で笑ってるんですか、私は真剣なのに!」

「ああ、すまないな。お前が可愛くて」

「へっ」

 瞬間にカナエの顔が沸騰する。

「えっ? でも、だって、ミカが私を好きだっていうのは、ゲームの役割で」

「もうゲームじゃない」

「でも」

「カナエ、愛している。私の愛を受け取ってくれるだろうか?」

 大昔に使った、プロポーズの言葉だ。カナエは息を飲んで、破顔した。

「……また乙女ゲームごっこですか?」

「いいや? 私は本気だ」

「へへ、嬉しいな……」

 カナエが言いながら、私に抱き着いた。

 そうして私は、同じ女性に二度も恋に落ち、とんでもない遠回りをして、彼女とやっと結ばれたのだ。
< 35 / 66 >

この作品をシェア

pagetop