乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
【ミヒャエルルート】何度でもあなたに恋をする(中)
【番外編】何度でもあなたに恋をする(中)
元の世界に帰るものだと思っていたカナエが、ミヒャエルの傍に居続けたいと言ってくれた。そうして気持ちを確かめあって、私が浮かれていなかったと言えば嘘になるだろう。
何百とヒロインを変えつつ繰り返した嘘の乙女ゲームの世界で、結局私が求めていたのは『カナエと生きて幸せになれる世界』だったのだから、この状況に舞い上がらない訳がないのだ。
私自身は、自分のことを冷静な人間だと思っていたが、カナエのことに関して言えば馬鹿になるらしい。
第一王子としての業務をこなす傍ら、時間を見つけてはカナエに会いに行っていたが、それをカナエも喜んでいる風だった。少なくとも嫌がられてはいなかった。だから今日も、カナエの顔を見に寄ったのだが。
部屋の前まで来て、先客がいるようだから時を改めようと思ったその時だ。
「……ミカのこと、そんな好きじゃなかったんだよ」
あろうことか、そんなカナエの言葉が聞こえてしまった。それは、いつの時点の話なのだろう。
今、一緒に過ごしているカナエは『乙女ゲーム』のヒロインとしてこの世界に最初はやってきている。カナエは厳密にはゲームのシステム全てに従わなかったものの、確かにゲームに組み込まれてはいた。
『ここはゲームの世界だから』
『最初から攻略対象が選ばれていて当然』
そう思っていたからこそ、私はカナエの気持ちについて見落としていたのかもしれない。
カナエは、ゲームとしてのアルデウムの世界に来た瞬間から、私に対して判りやすすぎる程の好意を示していた。彼女は、一番最初にイージーモードで『ミヒャエル』を選んでいる筈だった。
それなのに、カナエは『最初は好きではなかった』と言う。では、ことあるごとに「好き」だと言っていたのは、何だったのか。旅の初めの方から、私が少し話しかけるだけで、好きだと彼女は言っていたというのに。
「それ、『偶像としては好きだけど、男性としては殿下のこと好きじゃない』って言ってるように聞こえるよ」
アレンの声が更に聞こえて、私は固まってしまった。
元の世界に帰るものだと思っていたカナエが、ミヒャエルの傍に居続けたいと言ってくれた。そうして気持ちを確かめあって、私が浮かれていなかったと言えば嘘になるだろう。
何百とヒロインを変えつつ繰り返した嘘の乙女ゲームの世界で、結局私が求めていたのは『カナエと生きて幸せになれる世界』だったのだから、この状況に舞い上がらない訳がないのだ。
私自身は、自分のことを冷静な人間だと思っていたが、カナエのことに関して言えば馬鹿になるらしい。
第一王子としての業務をこなす傍ら、時間を見つけてはカナエに会いに行っていたが、それをカナエも喜んでいる風だった。少なくとも嫌がられてはいなかった。だから今日も、カナエの顔を見に寄ったのだが。
部屋の前まで来て、先客がいるようだから時を改めようと思ったその時だ。
「……ミカのこと、そんな好きじゃなかったんだよ」
あろうことか、そんなカナエの言葉が聞こえてしまった。それは、いつの時点の話なのだろう。
今、一緒に過ごしているカナエは『乙女ゲーム』のヒロインとしてこの世界に最初はやってきている。カナエは厳密にはゲームのシステム全てに従わなかったものの、確かにゲームに組み込まれてはいた。
『ここはゲームの世界だから』
『最初から攻略対象が選ばれていて当然』
そう思っていたからこそ、私はカナエの気持ちについて見落としていたのかもしれない。
カナエは、ゲームとしてのアルデウムの世界に来た瞬間から、私に対して判りやすすぎる程の好意を示していた。彼女は、一番最初にイージーモードで『ミヒャエル』を選んでいる筈だった。
それなのに、カナエは『最初は好きではなかった』と言う。では、ことあるごとに「好き」だと言っていたのは、何だったのか。旅の初めの方から、私が少し話しかけるだけで、好きだと彼女は言っていたというのに。
「それ、『偶像としては好きだけど、男性としては殿下のこと好きじゃない』って言ってるように聞こえるよ」
アレンの声が更に聞こえて、私は固まってしまった。