乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
「それは」
忘れる筈がない。そして一度などではない。何度も、何度も、時を逆巻いては、私はカナエを死なせてしまった。胸の中には感情が渦巻くのに、それをうまく言葉にはできない。
黙ってしまった私に、カナエは嘆息する。
「別に、こんなこと話さなくてもいいんだとは思う。秘密があっても、隣には居られるし。でも、変な誤解するくらいならちゃんと話したい」
いいでしょう?とカナエは目で訴えてくる。
「私ね、小さい頃から、ミカの夢を何度も見てたの。それは本当は夢なんじゃなくて、私の前世だった。聖女として召喚されて、一緒に旅をして。ミカに恋をして。乙女ゲームの話をミカにしたら、それでミカは遊んでくるようになっちゃったりしてさ……」
そこで少しカナエは笑う。
「そんなことされなくても好きだったのに、ミカ、乙女ゲームごっこばっかりするから困ったなあ。でも、ミカは私にプロポーズしてくれて……それから魔王に」
「やめてくれ!」
気づけば、立ち上がって叫んでいた。
「……君は生きている。死んでなど、いない」
私が魔法で世界を作り変えたのは、消しようのない事実だ。けれど、カナエが死んだことなど、時を逆巻いて消えた過去だと思ってしまいたい。目の前で冷たくなるカナエなど、思い出したくもない。
そうだ、私はカナエがここに戻ってきてくれてなお、受け入れられていないのだ。彼女を一番初めの旅で死なせてしまったという事実を。
今更ながら、自分のそんな弱さに気付いて愕然とする。目の前に彼女は生きているのに、世界を壊してまで彼女を生かしたのに。
「……そうだね、今回は生き残れた。びっくりしたよ。前世だけど、同じ運命を辿ると思ってたから、死なずに魔王を倒せて良かった」
「私が、カナエを死なせたんだ。魔王の触手がカナエに迫る前に倒せていれば」
「それはもう、終わったんだよ」
カナエは私に走り寄り、抱きついてきた。細い腕が、無遠慮に強く抱きしめてくる。
「今、私は生きているのは、ミカが守ってくれたからだよ」
忘れる筈がない。そして一度などではない。何度も、何度も、時を逆巻いては、私はカナエを死なせてしまった。胸の中には感情が渦巻くのに、それをうまく言葉にはできない。
黙ってしまった私に、カナエは嘆息する。
「別に、こんなこと話さなくてもいいんだとは思う。秘密があっても、隣には居られるし。でも、変な誤解するくらいならちゃんと話したい」
いいでしょう?とカナエは目で訴えてくる。
「私ね、小さい頃から、ミカの夢を何度も見てたの。それは本当は夢なんじゃなくて、私の前世だった。聖女として召喚されて、一緒に旅をして。ミカに恋をして。乙女ゲームの話をミカにしたら、それでミカは遊んでくるようになっちゃったりしてさ……」
そこで少しカナエは笑う。
「そんなことされなくても好きだったのに、ミカ、乙女ゲームごっこばっかりするから困ったなあ。でも、ミカは私にプロポーズしてくれて……それから魔王に」
「やめてくれ!」
気づけば、立ち上がって叫んでいた。
「……君は生きている。死んでなど、いない」
私が魔法で世界を作り変えたのは、消しようのない事実だ。けれど、カナエが死んだことなど、時を逆巻いて消えた過去だと思ってしまいたい。目の前で冷たくなるカナエなど、思い出したくもない。
そうだ、私はカナエがここに戻ってきてくれてなお、受け入れられていないのだ。彼女を一番初めの旅で死なせてしまったという事実を。
今更ながら、自分のそんな弱さに気付いて愕然とする。目の前に彼女は生きているのに、世界を壊してまで彼女を生かしたのに。
「……そうだね、今回は生き残れた。びっくりしたよ。前世だけど、同じ運命を辿ると思ってたから、死なずに魔王を倒せて良かった」
「私が、カナエを死なせたんだ。魔王の触手がカナエに迫る前に倒せていれば」
「それはもう、終わったんだよ」
カナエは私に走り寄り、抱きついてきた。細い腕が、無遠慮に強く抱きしめてくる。
「今、私は生きているのは、ミカが守ってくれたからだよ」