メリーでハッピーなトゥルーエンドを
「なるほど。悪くねぇ考えだな、なかなかいい線行ってるぜ」
腕を組み、顎に手を当てた御影はそう言ってにやりと笑う。
否定とも肯定とも取れない、曖昧な言い方で明言を避けたようだった。
「教えてくれないんだ」
「言ったろ、俺に期待すんな。やってやれるのはせいぜい見守ることくらいだぜ。おまえと一緒だな」
冷ややかな皮肉とともに声を上げて笑う。
シニカルな挑発にむっとしてしまうものの、返す言葉もなかった。
結末を知っていながら、何もできなかったから。
毎回、不慮の事故が起きて、とっさに郁実が庇ってくれるような形だった。
だけど“昨日”はどうだろう。
背中を押されたのだとしたら、故意に狙われたということになる。
あの子に……?
「……ねぇ、御影。わたしか郁実が死ぬような目に遭うのは確実でも、事故とは限らないの?」
「そうだな、いまとなっては」
「え?」
あっさり答えてくれたと思ったら、続けられたのは不可解なひとことだった。
けれど、それ以上詳しく話す気はないみたい。
「じゃあ、誰かに殺される可能性もあるってことだよね?」
「ああ。おまえかイクミか……もしくは両方かも」
胸の奥がざわめいた。
それなら、よぎった“まさか”も現実味を帯びてくる。
(あの子が何か関わってるのかも)
わたしを線路に突き落として、殺そうとしたのだとしたら────。
でも、どうしてなんだろう。
(もしかして、柊先輩のこと?)
“昨日”、彼があの子を差し置いてわたしを優先したことを思い出す。
そのせいだろうか。
あの子は先輩のことが好きなのかもしれない。
けれど、わたしが邪魔してしまったせいで反感を買って逆恨みされた。
わたしが先輩と親しいのだと誤解して、お門違いな嫉妬をさせてしまったんじゃないだろうか。
(そういうことなら、あの子と話さなきゃ)
わたしには先輩に対して特別な感情なんてないし、彼女が心配することは何もない。
嫉妬なんて、まして殺される筋合いなんてない。
もし“今日”もわたしを狙っているのだとしたら怖いけれど、勇気を出さないと。
郁実を救うために、今度こそは失敗しない。
その足で3年生の教室が並ぶ2階まで下りると、柊先輩の姿を捜した。
あの子の名前とクラスを聞き出すためだ。
たぶん1年生だろうけれど、闇雲に探し回るのは無謀に感じられた。
先輩のクラスを覗くと、ちょうど友だちとの話を切り上げたところだった。
自分の席へ戻ろうとする彼に声をかける。
「柊先ぱ────」
言いかけた瞬間、目の前で眩しいほど綺麗な金色がなびいた。
はっと息をのむ。