不埒な先生のいびつな溺愛【番外編集】
美和子に触れられない十二年間は下品な想像を繰り返してきた。
ところが再会して触れられる距離になった今はなぜか違って、彼女が俺の手を握り、頭を寄せて愛を囁く妄想が止まらない。
いつも怖かった。
またさらに、俺の知らない美和子になるんじゃないかって。
きっとそれさえ好き以外になれなくて、もがき苦しむことになるのだろうとわかっていた。
だから、美和子を抱くなんて、絶対できないと思っていたのだ。
そんな日は永久にこない。俺の想像の中でしかない。
美和子は何度も変わっていき、やがて俺を置いてどこかへ行く。
俺はその日が来ないように毎日祈る。
その繰り返しのはずだった。
まだ、信じられない。
キスをして、俺が夢見た言葉ばかりをくれて、一生捨てないという不安定で甘美な約束をしてもらった。
『だって私、たぶん、その……全然、たいしたことないから。久遠くんのこと満足させてあげられないかも……』
俺の下で体を隠した美和子が目に焼き付いて離れない。
茶髪の美和子が俺のものみたいな仕草をしたのが、たまらなかった。