明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「はい。」

私が返事をすると、旦那様は私を連れて湯船の中に入った。

「はぁー……風呂に入ると落ち着く。」

「それは、ようございました。」

体を抱き寄せられ、旦那様の吐息が耳元で聞こえる。

ドキドキする。殿方とお風呂に入るだなんて、弟ともしなかったのに。

「緊張している?」

「い、いいえ。」

「その割には随分、心臓の音がうるさいけど。」

かぁーっと顔を赤くしてしまった。

「もうのぼせたか?」

ううんと首を横に振った。

顔が熱くて、旦那様の顔を見れない。

「珠緒。こっち向いて。」

言われるがまま旦那様の方を見ると、唇を塞がれた。

「んんっ……」

柔らかい感触。何度も重なり合う唇に、心地よさを感じた。

これが接吻というものなのだろうか。

「珠緒。今夜、君を抱く。」

ドキッとした。今夜、私は旦那様のものになる。

そう思ったら、体が震えて来た。
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