明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「えっ……」

私は上半身を起こした。

「この前、ボタンの取れたシャツを、君が直してくれたと聞いた。」

「はい。」

「嬉しかった。そのシャツを着てそのボタンを見る度に、君に包まれている気がするんだ。」

ドキドキした。

私が旦那様の役に立っているなんて。

「俺は感じてるよ。君が笑えば俺は微笑んでしまう事を。君が満足すれば、俺まで心が満たされるんだ。」

「惇様……」

「一人じゃない。いや、一人になんかさせないよ。ずっと。」

嬉しい。そんな言葉を言ってくれるなんて。

そして再び、涙が溢れた。

「珠緒?」

「これは、嬉し泣きです。」

私が涙を拭くと、旦那様が私の涙を拭きとってくれた。

「幸せです、私。」

そう言うと旦那様は抱き寄せて、口づけをしてくれた。

「俺も幸せだ。君が俺の夜を幸せにしてくれる。」

その夜は、心も体も満たされたものだった。
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