明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
それから旦那様は、毎日私を迎えに帝大まで来るようになった。

「あの、旦那様。こんなに毎日来たら、お仕事が……」

「気にしなくていい。秘書に任せてある。」

旦那様は、私の手を握りしめた。

「それよりも今は、君といるこの時間が、何よりも大切だ。」

それは今までの旦那様の中で、一番愛おしい笑顔だった。

「でも、毎日では奥様が大変なのでは?」

「そのことなんだが……」

旦那様は一旦言葉を止めると、重苦しそうに告げた。

「妻は……鞠子は病で亡くなったんだ。」

私はハッとした。

「そんな!余計にダメです。奥様の喪中にこんなこと。」

私は旦那様の手を離した。

「聞いてくれ、珠緒。」

だが旦那様は、また私の手を握り返した。

「鞠子が、亡くなる時に言ったんだ。珠緒を迎えに行けと。」

「奥様が?」

旦那様はうんと頷いた。
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