明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「鞠子は君が出て行く時、なぜ引き留めなかったのかと、後悔していた。その罰が当たってのだとも言っていた。」

「そんな事……」

あのお人形さんのように美しい方が、そんな事を言いながら亡くなったなんて。

「鞠子の為にも、何より俺自身が後悔しない為にも、君をもう一度手に入れる。」

「旦那様……」

「結婚して欲しい。今度は俺の妻として、屋敷に来て欲しい。」

私は息をするのも忘れて、旦那様を見つめた。

「今度の日曜日、君を迎えに行く。今度は、誠一君も母君もだ。」

「えっ……」

私は飛び上がる程驚いた。

「もう君の家族は、俺の家族だ。」

私の目からは自然に涙が零れ、ゆっくりと旦那様の胸の中へと沈んで行った。


そして日曜日。

私と母と誠一は、逢坂家の馬車に乗って、逢坂家の屋敷にやってきた。

出迎えてくれたのは、やはり旦那様だった。
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