明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「姉さんには、新しい嫁ぎ先を用意している。」

私は旦那様を見つめた。

「旦那様、急にそんなっ!」

「俺と珠緒の子供を……奪った罪は重い。」

そう言うと旦那様は、廊下の奥へと行ってしまった。


母と誠一には、二階の部屋が一室ずつ与えられた。

その中の一室は、私が以前に使っていた部屋だった。

「もう母さんと一緒に眠れないのか。」

誠一には新しい部屋が広すぎるようだ。

「一緒に眠れないって言っても、隣の部屋よ。いつでも会いに行けるわ。」

私は誠一の背中を抱きしめた。

誠一は大学校に行く事を諦めないでくれたようで、学費は引き続き旦那様が払ってくれることになった。

小学校の手伝いは、ツテを探してくれた人の為にも、学校のない夕方に手伝いに行っているようだ。


そして食卓も賑やかになった。

旦那様が、私達の家族と混じって食事をするようになったからだ。

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