明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「い、いいえ!その、言葉の綾でして。なんと言いますか……」

私は、この時嘘も方便だという事を思い出した。

「ご主人様なら、このお話……お引き受けしたいと。」

逢坂様は私をちらっと見る。

「お願いです。私達一家を救うと思って下さい。」

私は深く頭を下げた。

その時だった。奥様が私の背中に、手を添えてくれた。

「珠緒さんにしましょう。あなた。」

「鞠子!」

「私は気に入ったわ。これくらい芯の強い方ではないと、あなたは支えられない。」

私は顔を上げて、微笑んでいる奥様を見た。

「奥様、ありがとうございます。」

「いいえ。」

すると逢坂様も、顎に手を当て考えている。

「鞠子が気に入ったのなら、仕方ないか。」

「あ、ありがとうございます!」

こうして私は、逢坂淳の妾としてこの屋敷に仕えることになった。


< 7 / 60 >

この作品をシェア

pagetop