明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
だが、弟の誠一は反対した。

「妾なんて、姉君には相応しくない!」

「そう言っても、決まったものは仕方ないでしょう。」

そう言って、私は身の回りの物をカゴの中に入れた。

「結婚相手なら、俺がたくさん連れてくるから。」

思わずふっと笑ってしまった。

「これはご縁なのよ、誠一。」

私は誠一の肩を叩いた。

「直に、ご主人様の家から、使用人が来てくれるから。家の事を教えてあげてね。」

そう言って立ち上がった。

「姉君!断って下さい!」

私はにこっと微笑んだ。

「無理よ。私、ご主人様の事、気に入ってしまったのだから。」

そう言って私は、屋敷から来た馬車に、カゴを抱えて乗った。

そう。どうせ男に抱かれるのなら、自分が気に入った人にしたい。

あの方は、誰よりも優しい方だ。

そう信じて、私はあの屋敷に向かった。

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