あなたに殺された聖女の私
「それは……きれいに炭くずになったからですよ。彼女が殿下の婚約者になってからというもの、殿下も悩んでいらっしゃったでしょう?」
 ユリセナは聖女という名にふさわしい、気高き女性だった。さらに、誰にでも分け隔たりなくやさしく、悪いことは悪いとはっきり口にする性格だった。
 それゆえ、王妃や妹王女から疎まれていたのも事実。そして、カイレムも――。
「だから、安心してください。ユリセナ殿は、私が殺しておきました」
 ビシャッ――。
 感情高ぶったカイレムは、手にしていたグラスの水をダリオンに向かってぶちまけた。
「ダリオン。いくらおまえとて、言っていいことと悪いことがある」
 ぽたり、ぽたりと、ダリオンの前髪から滴が落ちる。
「殿下……?」
「黙れ。先ほどから、なんなんだ? 自分がユリセナを殺したと、その話題ばかり。そんなことがあって、いいはずがないだろう!」
 カイレムは身体を起こし、ダリオンの胸ぐらを掴んだ。
「ユリセナを殺したのは……」
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