【マンガシナリオ】つづきは白衣を脱いでから~極上心臓外科医の独占欲を煽ったら溺愛されました~
1話 やけくそアバンチュール
〇セブ島の高級リゾートホテルの一室・夜
キャンドルの明かりだけが照らす室内で愛し合う男女。ベッドのシーツは乱れている。
愛未「もっと強く抱いてください」(ぜんぶ忘れさせて……)
事後、寝ている男を起こさないようにして愛未はベッドを抜け出す。
愛未モノローグ『あなたとの思い出も、失恋の痛みもすべて、この島へ置いていきます』
愛未「ありがう、さよなら」
呟いて部屋を出る。
ゆっくりと閉まるドア。
白々と明ける南の島の夜明けの情景。
〇成田空港・朝
国際線の搭乗ゲート付近のベンチ
リゾートにぴったりなワンピースに編み上げサンダル姿の愛未。
一緒に旅行するはずの恋人を待っている。
搭乗案内があり客が次々とゲートを通り過ぎていくが恋人はまだ姿を現さない。
愛未モノローグ『わたし、来栖愛未は大学三年生』『この夏休みに初めて付き合った年上の恋人と、交際一周年記念の海外旅行(セブ島!)へと旅立とうとしている』『のだけれど……』
愛未「侑也くん、なにしてるのかな?」
愛未モノローグ『搭乗時間が間近に迫っているというのに恋人の侑也はいまだに姿を現さない』
その時愛未のスマホが震える。
侑也からのメッセージ:【ごめん、急用ができた。先に行ってて!】
愛未「えっ……侑也くん一緒に飛行機に乗らないの⁉」
愛未のメッセージ:【待ってちゃダメ? ひとりで行くのは不安だよ】
侑也のメッセージ:【ダメ。チケット無駄にするつもり?】
愛未「……それはそうなんだけど」(ひとりで海外行ったことないし……)
不安げな表情を浮かべる。
グランドスタッフ「最終のご案内を申し上げます。ただいま四十八番搭乗口におきまして――」
横をひとりの男性が急ぎ足で通りすぎる。その姿を見て焦る愛未。
愛未「ええい、いっちゃえ!」
愛未もそれに続くように搭乗ゲートを通った。
〇マーレ国際空港 夜
タラップを使って飛行機を降りる乗客たち。
愛未モノローグ『モルディブはインド洋に浮かぶ環礁や千以上の島々から成る熱帯の群衆国家。この美しい島々は真珠の首飾りと呼ばれ、日本では新婚旅行先としても人気がある』
キョロキョロ周囲を見渡すと愛未の周りはカップルだらけ。
愛未(……侑也くん、もう飛行機乗ったかな?)
人の流れに身を任せてターミナルビルへと入る。
入国手続きを終えた後、スーツケースをピックアップし到着ゲートへと向かった。
そこで愛未はスマホをWi-Fiにつなぎ、侑也からメッセージが届いていないか確かめた。
愛未「えっ?」
そのまま固まる。
侑也のメッセージ【旅行には行けない。妻にバレた】
既読を付けた途端、トークルームから侑也のアカウントが消える。
愛未「まって……どういうこと?」「妻って……」
見開いたままの愛未の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
愛未「侑也くん、奥さんいたの……?」
愛未モノローグ『思い返せばおかしなことはいくつもあった。土日どちらかしか会えないとか、彼の家に行ったことがないとか、一緒に写真を撮らせてもらえないとか』『その違和感に気付きながらも嫌われたくなくて黙ってた』
愛未「(ぼろぼろ泣きながら)サイテイ……」
〇到着ゲートの外 夜
泣きはらした目でふらふらと歩く愛未。
愛未モノローグ『すぐに帰国する気力もなく、滞在することにした私は手配していた送迎の運転手を探す』
外に出るとボードを掲げた出迎えの人と、観光客でごった返している。
愛未「たしか今夜は近くのホテルに宿泊する予定だったよね」「お迎えの人はどこだろう……?」
ボードを持っている人を探すがそれらしき人は見当たらない。
ウロウロキョロキョロする愛未。
愛未「まさか」(……イヤな予感がする)
ホテルに電話をかける愛未。つたない英語で予約の確認を行う
ホテル受付「(英語で)予約はありません」という返答が帰ってくる。
愛未「……うそでしょ」(侑也のばか、ばかばかばか……)「案内所ならホテル探してもらえるのかな。行ってみよう」
スーツケースのハンドルと掴もうとするがスカッと手が宙を掴む。
スーツケースが跡形もなく消えている。
愛未「え、え、待って。どうしてないの?」(盗まれた⁉)
ようやく状況が呑み込んだ愛未は走って通りに出た。すると五十メートルほど先の所で車のトランクに荷物を積み込もうとしている人が見える。
愛未「それ、わたしの荷物ーー!」
ワンピースの裾をたくし上げて走り出す愛未。
愛未(なんとしても取り返さないと!)
数メートル走ったところで派手に転倒。
愛未「きゃーーーー」
そのまま意識が遠のく。
愛未(わたし、死ぬの?)(――……)
〇水上コテージ 朝
目を醒ます愛未。
視界に映り込むのは光に満ちていてまるで天国のよう。
愛未「ここ、どこ?」「もしかして天国……? わたし、死んだの?」
頭だけ動かして周囲を見る愛未。
寝ているベッドは天蓋付きのゴージャスなもの。
首をもたげると目の前にはネオンブルーの美しい海が広がっている。
愛未「きれい」
しばしボーっとする愛未。
愛未「……そうだ、昨日スーツケースを盗まれて……それでどうしたんだっけ?」
バサッとシルクのブランケットを捲る。
愛未「いたっ!」
両方の膝には丁寧に包帯が巻かれていた。肘にも大きな絆創膏が張られている。
愛未(手当されてる……?)「あの、誰か……誰かいませんか」
シーンとしている。なんの返答もない。
そろりと体を動かして天蓋付きのベッドから降りる。
愛未「いたたぁ……」
膝をかばいながらよろよろと室内を見て回る。
天蓋付きのキングサイズくらいのベッドと、豪華なドレッサーが置いてある。奥がバスルームでその浴槽には花が浮かべられていた。
さらに隣の部屋はイタリア製の豪華な応接セットが置かれたリビング。広さは二十畳ほどだろうか。バーカウンターもある。
愛未「すてきな部屋」
リビングの目の前のウッドデッキにはビーチチェアが四脚並んでいて、右側には大きなプール。その横には海に下りられる階段がついていた。
さらにその奥にもひと回り小さなベッドルームは床が透明になっていて、魚が泳いでいる姿が見える。
愛未モノローグ『旅行前にたくさんリサーチしたからわかる。このグレードのヴィラになると一泊百万円はくだらない』
愛未「――まって」
青ざめる愛未。
愛未(そんな大金払えないけど――!!)
入口のドアをノックする音が聞こえる。
愛未は恐る恐るドアに近づく。
愛未「……はい」
ドアの向こうの人(声)「ああ、よかった。目を醒ましたんだね」
愛未(男の人の声だ。しかも日本語~)
ホッとする愛未。
男(声)「体は大丈夫?」
愛未「はい、なんとか。……あの、もしかしてあなたが助けてくれたんですか?」
男(声)「目の前で倒れた君を放っておくこともできなくて……」
愛未はゆっくりとドアを開けた。そこにいた男性を見て愛未は目を見張る。
愛未(空港で見かけた人だ)※愛未の横を通り過ぎた男性
端正な顔立ちに少し日に焼けた張りのある肌。清潔感のある短い黒髪。ジムに通って鍛えていそうな程よく厚みのある体。
Tシャツにハーフパンツというラフな服装だが、まったくだらしなく見えない。
男「おはよう。目覚めてくれてよかった」「呼びかけても反応しなかったから心配したんだよ」
〇男の回想 空港の通り 夜
間の前で派手に転ぶ愛未
慌てて駆け寄り抱き起す。
男(この子、成田で見かけて子だ)「おい、大丈夫か?」「おい、おい、しっかりしろ‼」
肩を揺すられても目を開けない愛未。
男(頭は打ってないはずだけど……)
脈を図り、全身を診察する。※のちに医者だと判明
愛未「…………」
ホッとした顔で眠る愛未。
男(この子まさか、寝てるのか?)「仕方ない、ホテルまで運ぶか……」
〇回想終わり
キャンドルの明かりだけが照らす室内で愛し合う男女。ベッドのシーツは乱れている。
愛未「もっと強く抱いてください」(ぜんぶ忘れさせて……)
事後、寝ている男を起こさないようにして愛未はベッドを抜け出す。
愛未モノローグ『あなたとの思い出も、失恋の痛みもすべて、この島へ置いていきます』
愛未「ありがう、さよなら」
呟いて部屋を出る。
ゆっくりと閉まるドア。
白々と明ける南の島の夜明けの情景。
〇成田空港・朝
国際線の搭乗ゲート付近のベンチ
リゾートにぴったりなワンピースに編み上げサンダル姿の愛未。
一緒に旅行するはずの恋人を待っている。
搭乗案内があり客が次々とゲートを通り過ぎていくが恋人はまだ姿を現さない。
愛未モノローグ『わたし、来栖愛未は大学三年生』『この夏休みに初めて付き合った年上の恋人と、交際一周年記念の海外旅行(セブ島!)へと旅立とうとしている』『のだけれど……』
愛未「侑也くん、なにしてるのかな?」
愛未モノローグ『搭乗時間が間近に迫っているというのに恋人の侑也はいまだに姿を現さない』
その時愛未のスマホが震える。
侑也からのメッセージ:【ごめん、急用ができた。先に行ってて!】
愛未「えっ……侑也くん一緒に飛行機に乗らないの⁉」
愛未のメッセージ:【待ってちゃダメ? ひとりで行くのは不安だよ】
侑也のメッセージ:【ダメ。チケット無駄にするつもり?】
愛未「……それはそうなんだけど」(ひとりで海外行ったことないし……)
不安げな表情を浮かべる。
グランドスタッフ「最終のご案内を申し上げます。ただいま四十八番搭乗口におきまして――」
横をひとりの男性が急ぎ足で通りすぎる。その姿を見て焦る愛未。
愛未「ええい、いっちゃえ!」
愛未もそれに続くように搭乗ゲートを通った。
〇マーレ国際空港 夜
タラップを使って飛行機を降りる乗客たち。
愛未モノローグ『モルディブはインド洋に浮かぶ環礁や千以上の島々から成る熱帯の群衆国家。この美しい島々は真珠の首飾りと呼ばれ、日本では新婚旅行先としても人気がある』
キョロキョロ周囲を見渡すと愛未の周りはカップルだらけ。
愛未(……侑也くん、もう飛行機乗ったかな?)
人の流れに身を任せてターミナルビルへと入る。
入国手続きを終えた後、スーツケースをピックアップし到着ゲートへと向かった。
そこで愛未はスマホをWi-Fiにつなぎ、侑也からメッセージが届いていないか確かめた。
愛未「えっ?」
そのまま固まる。
侑也のメッセージ【旅行には行けない。妻にバレた】
既読を付けた途端、トークルームから侑也のアカウントが消える。
愛未「まって……どういうこと?」「妻って……」
見開いたままの愛未の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
愛未「侑也くん、奥さんいたの……?」
愛未モノローグ『思い返せばおかしなことはいくつもあった。土日どちらかしか会えないとか、彼の家に行ったことがないとか、一緒に写真を撮らせてもらえないとか』『その違和感に気付きながらも嫌われたくなくて黙ってた』
愛未「(ぼろぼろ泣きながら)サイテイ……」
〇到着ゲートの外 夜
泣きはらした目でふらふらと歩く愛未。
愛未モノローグ『すぐに帰国する気力もなく、滞在することにした私は手配していた送迎の運転手を探す』
外に出るとボードを掲げた出迎えの人と、観光客でごった返している。
愛未「たしか今夜は近くのホテルに宿泊する予定だったよね」「お迎えの人はどこだろう……?」
ボードを持っている人を探すがそれらしき人は見当たらない。
ウロウロキョロキョロする愛未。
愛未「まさか」(……イヤな予感がする)
ホテルに電話をかける愛未。つたない英語で予約の確認を行う
ホテル受付「(英語で)予約はありません」という返答が帰ってくる。
愛未「……うそでしょ」(侑也のばか、ばかばかばか……)「案内所ならホテル探してもらえるのかな。行ってみよう」
スーツケースのハンドルと掴もうとするがスカッと手が宙を掴む。
スーツケースが跡形もなく消えている。
愛未「え、え、待って。どうしてないの?」(盗まれた⁉)
ようやく状況が呑み込んだ愛未は走って通りに出た。すると五十メートルほど先の所で車のトランクに荷物を積み込もうとしている人が見える。
愛未「それ、わたしの荷物ーー!」
ワンピースの裾をたくし上げて走り出す愛未。
愛未(なんとしても取り返さないと!)
数メートル走ったところで派手に転倒。
愛未「きゃーーーー」
そのまま意識が遠のく。
愛未(わたし、死ぬの?)(――……)
〇水上コテージ 朝
目を醒ます愛未。
視界に映り込むのは光に満ちていてまるで天国のよう。
愛未「ここ、どこ?」「もしかして天国……? わたし、死んだの?」
頭だけ動かして周囲を見る愛未。
寝ているベッドは天蓋付きのゴージャスなもの。
首をもたげると目の前にはネオンブルーの美しい海が広がっている。
愛未「きれい」
しばしボーっとする愛未。
愛未「……そうだ、昨日スーツケースを盗まれて……それでどうしたんだっけ?」
バサッとシルクのブランケットを捲る。
愛未「いたっ!」
両方の膝には丁寧に包帯が巻かれていた。肘にも大きな絆創膏が張られている。
愛未(手当されてる……?)「あの、誰か……誰かいませんか」
シーンとしている。なんの返答もない。
そろりと体を動かして天蓋付きのベッドから降りる。
愛未「いたたぁ……」
膝をかばいながらよろよろと室内を見て回る。
天蓋付きのキングサイズくらいのベッドと、豪華なドレッサーが置いてある。奥がバスルームでその浴槽には花が浮かべられていた。
さらに隣の部屋はイタリア製の豪華な応接セットが置かれたリビング。広さは二十畳ほどだろうか。バーカウンターもある。
愛未「すてきな部屋」
リビングの目の前のウッドデッキにはビーチチェアが四脚並んでいて、右側には大きなプール。その横には海に下りられる階段がついていた。
さらにその奥にもひと回り小さなベッドルームは床が透明になっていて、魚が泳いでいる姿が見える。
愛未モノローグ『旅行前にたくさんリサーチしたからわかる。このグレードのヴィラになると一泊百万円はくだらない』
愛未「――まって」
青ざめる愛未。
愛未(そんな大金払えないけど――!!)
入口のドアをノックする音が聞こえる。
愛未は恐る恐るドアに近づく。
愛未「……はい」
ドアの向こうの人(声)「ああ、よかった。目を醒ましたんだね」
愛未(男の人の声だ。しかも日本語~)
ホッとする愛未。
男(声)「体は大丈夫?」
愛未「はい、なんとか。……あの、もしかしてあなたが助けてくれたんですか?」
男(声)「目の前で倒れた君を放っておくこともできなくて……」
愛未はゆっくりとドアを開けた。そこにいた男性を見て愛未は目を見張る。
愛未(空港で見かけた人だ)※愛未の横を通り過ぎた男性
端正な顔立ちに少し日に焼けた張りのある肌。清潔感のある短い黒髪。ジムに通って鍛えていそうな程よく厚みのある体。
Tシャツにハーフパンツというラフな服装だが、まったくだらしなく見えない。
男「おはよう。目覚めてくれてよかった」「呼びかけても反応しなかったから心配したんだよ」
〇男の回想 空港の通り 夜
間の前で派手に転ぶ愛未
慌てて駆け寄り抱き起す。
男(この子、成田で見かけて子だ)「おい、大丈夫か?」「おい、おい、しっかりしろ‼」
肩を揺すられても目を開けない愛未。
男(頭は打ってないはずだけど……)
脈を図り、全身を診察する。※のちに医者だと判明
愛未「…………」
ホッとした顔で眠る愛未。
男(この子まさか、寝てるのか?)「仕方ない、ホテルまで運ぶか……」
〇回想終わり