運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「おかげで、セレナと結婚できるのだから、俺は何も苦しんでないが?」
「い、今はそういう話をしてるんじゃなくて」
「茶化してるんじゃない。イザベラの呪いには、俺がまだ知らない秘密があるんじゃないだろうか」
「私は……本当に何も知らなくて……」

 私はイザベラじゃない。イザベラに生まれ変わった御堂星麗奈だから。過去のことも何もかも覚えていないし、知らない。

「イザベラの備忘録は全部読んだか?」
「あ、はい。イザベラの善行ばかりが書いてありました。ルミナリアの発展に協力していたのに、破滅させようとした経緯はまったくわからなくて」

 首をかしげると、アレクがどこか意味ありげにじっと見つめてくる。

「好きな男がいたようだが?」
「だ、だから、私は知りませんっ」
「本当か?」
「本当ですっ。キ、キスもしたことないですし」
「ほう」

 アレクは思案げにあごをなでる。

「な、なんですか?」
「おまえがあのほこらで二千年もの間、眠り続けていたと信じてるわけでもないが、おまえの純真さはそれに値する。つまり……」
「つまり?」
「今夜は俺の部屋で眠らせてやってもいいだろう」
「何がどうなって、そんな話になるんですかっ」
「……男は、たまにこじつけたくなるものだ。とまあ、冗談はさておき」

 アレクはおもむろに机の上にある本を手に取る。

「イザベラの備忘録には続きがあるんだが、興味はないか?」
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