運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
***


 目が覚めると、柔らかい寝具に包まれたまま、ベッドで横になっていた。昨夜は遅くまで本を読みあさっていて、いつの間にか眠ってしまったらしい。

 そう……、昨夜はアレクとともに、イザベラがなぜルミナリアを滅ぼそうとしたのか調べようとして、備忘録の続きを……。

 セレナはゆっくりと目をあげた。そこにアレクの寝顔を見つけた途端、ぼんやりとしていた頭がいきなり鮮明になり、そのまま真っ白になった。

「な、な、なんで……っ」

 あわてて身体を起こそうとしたが、彼の腕がちょうど腰あたりに巻き付いているのに気づいて、息をひそめた。

 そっとアレクの様子をうかがう。寝顔は穏やかだった。熟睡はしない、なんて言っていたけれど、昨日の寝たふりとは違って、すっかり気のゆるんだ優しい顔つきが、それは嘘だと物語っている。

 セレナはどうすることもできずにじっとしていた。目だけがどんどん冴えていく。

 彼と一晩を過ごしてしまった。メイドたちは大変な勘違いをするんじゃないか。エマにだって、どんな顔をして会えばいいだろう。何もなかったと知られたら、それはそれで、冷笑されるかもしれない……。

 恥ずかしさで身をすくませたとき、アレクが寝返りをうち、ゆっくりとまぶたをあげた。

「起きていたのか……」

 彼は寝ぼけたような声でつぶやきながら、首筋に顔をうずめて、甘えるように鼻先をこすりつけてくる。

「あ、アレク……、もう朝ですよ」

 肩を小さくトントンとつつくと、彼は迷惑そうに片目を開けた。

「まだ寝てろ。おまえが起きると、俺も起きなきゃいけなくなる」
「で、でも……」
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