運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 アレクは大げさなため息をつくと、仕方なさそうにベッドをおり、メイドを呼んだ。

 すると、ぞろぞろと押し寄せるように部屋へ入ってきた、何人ものメイドたちに取り囲まれる。あれよあれよという間に着替えが済み、気づけば、バルコニーに朝食の準備まで整っていた。

 メイドたちに促され、セレナは席についた。向かいに腰かけるアレクは、目を通し終えた書簡をたたんでいるところだった。

「あ、あのー……」
「どうした?」
「知らないうちに眠っちゃったみたいで……」

 おずおずと言うと、アレクは書簡を従者に戻し、愉快そうに目を細める。

「あれもこれもと、関連する書物が読みたいというから、運ばせてるうちに寝ついたのには驚いた。気になるものがあれば、持っていくがいい」

 アレクは机の上にある本を指差して笑う。あきれてるみたい。

「すみません……。読んだら図書館に戻しておきますから」
「好きなようにしていい」

 アレクはとことんセレナに甘かった。無駄足になったことを責めもしない。セレナはほっと息をついて食事にありついた。

 たくさんのバターを含んだ柔らかいパンをちびちびと食べる。とてもぜいたくなパンだ。しぼりたてのぶどうジュースもほんのり甘く、生ハムによく合う。

 お腹が満たされてくると、いつものような好奇心がむくむくと湧き出してくる。

「アレクの舌の……印は、いつから?」
「生まれたときからあると聞いている。司祭たちはエリアスの再来だと騒ぎ、陛下はイザベラの呪いを恐れて、俺をイザベラの鏡に近づけないよう徹底したんだ」
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