運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 だから、地方で暮らすメルン伯爵家にはまだ知らされていないはずだ。今すぐにでも、リディアに婚約したことを話してしまいたかったが、セレナはグッとこらえた。

「あれから……あの刻印のこと、何かわかりましたの?」

 リディアはエマの後ろへと目を移す。そこには、アレクが図書館から運んでくれた本を自室へ持ち帰るために、それぞれ数冊の本をかかえるメイドたちがひかえていた。

「ねぇ、リディア。少し、話せる?」
「もちろんですわよ」

 セレナはエマ以外のメイドたちを先に帰らせて、二つ返事したリディアとともに庭園に向かって歩いた。

「アレク……アレクシス殿下に確かめたんだけど……」

 ひかえめについてくるエマを振り返る。視線を送り、話し声が聞こえない程度の距離に彼女が身を引いたのを確認して、言う。

「やっぱり、クラリスの言う通り、鳥籠の刻印があったわ」
「本当なの?」

 噴水の音がやわらかく流れる、人気のない庭園の片隅で、リディアは少し真剣な顔になる。

「うん。殿下は勇者エリアスの生まれ変わりとされていて、イザベラの鏡にはいっさい近づかないようにしてきたって」
「それほど、イザベラの鏡を恐れているのですわね」

 リディアはほんの少し考え込むしぐさをして、納得いかない表情を見せた。

「それなのになぜ、イザベラのほこらへは出向いたのかしら?」
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