運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「……お父様なら、何か知っているかもしれませんわ。メルン家は昔、天穹宮と王宮のあいだの連絡を担っていましたの。そのころの記録が残っているかもしれません。メルンへ戻り次第、調べてみますわ」
「いいの?」
「もちろんですわ。セレナを放っておけないですもの」

 そう背筋を伸ばすリディアに、セレナは縮むように痛む胸をぎゅっとつかむ。

 こんなふうに親身になってくれる友人ができるなんて思ってなかった。

「巻き込んで、ごめんね」

 アレクだって、呪われて生まれてきたくなかっただろう。けれど皮肉なことに、彼を救えるのは自分だけだ。

「何を言いますの、セレナ。私は頼られて嬉しいですわよ」
「本当に、ありがとう」
「いいのよ。メルンへ帰ったら、お手紙を差し上げますわね」
「私も、書くわ。話したいことが、本当にたくさんあるの」

 まだ言えないけれど、結婚の報告はまずリディアに……。

「そろそろ行きますわね。セレナといると、帰りたくなくなってしまうわ」

 笑顔を見せて立ち去るリディアを見送る。

 彼女なら、何かつかんでくれるだろう。期待とともに、風に揺れる花々の向こうで、何かが確かに動き出した気がした。
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