運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
***


 メルンから封蝋のついた手紙がセレナのもとに届いたのは、リディアが王都を去ってから五日後のことだった。

 メルンまでの道のりを思えば、かなり早い。早速、何か手がかりを見つけてくれたのだろうか。

 エマが用意したペーパーナイフで急いで封を切り、少し厚手の便箋を引っ張り出す。その上質な紙の折り目を広げると、ところどころ、わずかなにじみのある文字が現れる。

 丁寧に……けれど、急いで書き上げたのであろう文字を読み進めるうちに、セレナの緊張は高まった。

_______

親愛なるセレナへ


久しぶりにメルンへ戻ってまいりました。少々、長居しすぎではないかと怒られてしまいましたけれど、セレナが王宮で丁重なもてなしを受けていると知り、父も喜んでおりましたわ。

さて、すぐに筆を取りましたのは、天穹宮から送られてきた書簡の一つに、このような言葉が残されていたからです。



エリアス・アルナリアに刻まれた印は、ふたたび、イザベラをこの世に目覚めさせる鍵となる。
エリアスの死後、いまだそれを持つ者は現れぬ。

アルヴェインを守りし、メルンに告げる。
刻印を持つ者が現れしとき、イザベラの眠る洞窟へ導かれよ。

イザベラは復活し、必ずや、その怨念と向き合うであろう。
そのとき、エリアスの呪いもまた解かれん。



どうです? とっても興味深いと思いません?
引き続き、お調べしますわね。
またお会いできる日を楽しみにしております。


あなたをこよなく愛する友
リディア・メルンより
_______


 手紙を読み終えたセレナは、思案げに天井を見上げた。

「イザベラが怨念と向き合ったとき、呪いは解かれる……って、どういうこと?」

 これは天穹宮を治める教皇からメルン家へ届いた手紙。おそらく、脈々と後世に受け継がれてきたものだろう。

「怨念って、何かしら……」
< 141 / 177 >

この作品をシェア

pagetop