運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
*
着替えを済ませ、部屋を出ると、王太子一行の出陣を知らせる鐘の音が響いた。
夜明けの名残をとどめた空は、青と白が淡く混じり合っている。それはセレナの胸の内と同じく、張り詰めた不安と期待がない交ぜになったような色でもあった。
「セレナ様、こちらへ。使用人の通用口に馬車を用意してございます」
外套をまとうエマが促す。セレナはうなずいて、彼女のあとについていく。
アレクの出立で沸く宮殿内では、見送りに出る使用人たちは皆、浮き足立っていた。おかげでセレナたちは誰からも不審がられることなく、通用口へと到着した。
「あちらです」
エマが前方を指差す。
そこには、濃紺の外装に、窓枠だけ銀の縁取りが施された上品な馬車があった。王家の紋章は外してあるが、質の良い革張りの座席には、乗る者の身分を隠しきれない立派さがある。
「殿下の目をごまかすには、少し上等すぎましたでしょうか?」
エマはほんの少し不安そうに言う。セレナのために、なるべく頑丈な馬車を用意したかったのだろう。
「……でも、これならメルンまで行けそうだわ」
「はい。旅支度は整っています。ご安心ください」
「本当に、エマ、あなたも行くの?」
「私はセレナ様にお仕えしていますから」
覚悟を決めた彼女の目を見て、うなずき合う。セレナが馬車の扉に手をかけようとしたそのとき、明るく快活な声がした。
「どこへ行くつもりですか、セレナさん」
ひょっこりと御者席から茶髪の青年が顔を出す。テオだった。
「て、テオさん?」
どうしてここに? アレクと一緒に出発したのでは……。
着替えを済ませ、部屋を出ると、王太子一行の出陣を知らせる鐘の音が響いた。
夜明けの名残をとどめた空は、青と白が淡く混じり合っている。それはセレナの胸の内と同じく、張り詰めた不安と期待がない交ぜになったような色でもあった。
「セレナ様、こちらへ。使用人の通用口に馬車を用意してございます」
外套をまとうエマが促す。セレナはうなずいて、彼女のあとについていく。
アレクの出立で沸く宮殿内では、見送りに出る使用人たちは皆、浮き足立っていた。おかげでセレナたちは誰からも不審がられることなく、通用口へと到着した。
「あちらです」
エマが前方を指差す。
そこには、濃紺の外装に、窓枠だけ銀の縁取りが施された上品な馬車があった。王家の紋章は外してあるが、質の良い革張りの座席には、乗る者の身分を隠しきれない立派さがある。
「殿下の目をごまかすには、少し上等すぎましたでしょうか?」
エマはほんの少し不安そうに言う。セレナのために、なるべく頑丈な馬車を用意したかったのだろう。
「……でも、これならメルンまで行けそうだわ」
「はい。旅支度は整っています。ご安心ください」
「本当に、エマ、あなたも行くの?」
「私はセレナ様にお仕えしていますから」
覚悟を決めた彼女の目を見て、うなずき合う。セレナが馬車の扉に手をかけようとしたそのとき、明るく快活な声がした。
「どこへ行くつもりですか、セレナさん」
ひょっこりと御者席から茶髪の青年が顔を出す。テオだった。
「て、テオさん?」
どうしてここに? アレクと一緒に出発したのでは……。