運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「ですから、ぜひとも王宮でおとなしく待っていていただきたいのですが、アレク様は危険を承知で飛び込む行動力のあるあなたに惹かれたのですから、ずいぶん矛盾していますね」

 テオはわずかに困り顔をする。

 セレナは必ず選択する。それが、アレクを苦しめるものになるかもしれない。テオは……いや、それも全部、アレクはわかっている。

「私にどうしろって言うんですか?」
「アレク様の命令に背くことを勧めるわけではありません。しかし、もしあなたが本気で助けたいと願うなら、俺は全力であなたを守り、アレク様のもとにお連れするだけです」

 テオはふと、エマへと目を移す。

「メイドのあなたを連れていくわけにはいきません。王宮に残ってください。セレナさんのことは俺に任せて」
「セレナ様をどうか、お守りください。……よろしくお願いします」

 エマは身を引いて、深々と頭をさげる。

「それでは、行きましょうか、セレナさん。べナールまでは数日かかります。馬車で行くことになりますが、メルンでアレク様と合流できるでしょう」

 セレナは口を強く結び、深くうなずいた。

「ありがとう、テオさん」

 エマへ別れを告げると、朝靄の残る王都を抜け、二人はべナールへ向かった。

 馬車の外を流れる景色が、刻一刻と緑を濃くしていく。長い長い林を抜けた先に、メルンはある。はやる気持ちで窓の外を眺めていると、ふと、御者席でテオが口を開く。

「アレク様があなたを見つけて微笑むときの顔を、見たことがありますか」
「え?」
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