運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「あなたはイザベラの備忘録を読んだことでしょう。あれは、かつての教皇がルーガの記憶をもとに記したもの。あれこそが真実。イザベラはルミナリアの救世主であるという真の記録なのです」
「ルーガの記憶……?」

 ライナスの肩にとまる精霊ルーガが、誇らしげにぱたぱたと羽を揺らす。

「ルーガは不老不死の精霊。二千年前も、イザベラとともにルミナリアを生きていました。イザベラが裏切りに会い、この地に封じられたあと、ルーガは真実を残すために記憶を語り、教皇が備忘録に残したのです」
「じゃあ……あそこに記されていたのは、ルーガが実際に見て、覚えていたこと……?」
「その通りです。ルーガはあなたが大好きだったのですよ。人々はルミナリアの王族によって歪められてきた歴史を信じ、我々は災厄の魔女として記録されたイザベラへの仕打ちに心を痛めてきました。ようやく、イザベラが目覚め、誤解をとく時が来たのです」

 ルーガが丸い瞳をしばたたかせてうなずく。

「イザベラ、あの時、僕は何もできなかったけど、でもいつか、あなたに会えるって信じていたんだ」
「私は……ルーガの知るイザベラじゃないかもしれない」

 ほんの少し前までは、御堂星麗奈として生きてきた普通の大学生だった。

 しかし、セレナの懸念を取り払うかのように、ライナスが穏やかに語る。

「ルーガはあなたの姿形を覚えているのではありません。魂が同じであることに気づいているのです」
「……魂が、同じ」
「そう。あなたはセレナの記憶を持ち、ふたたび目覚めた──イザベラなのです」
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