運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 ひょこっと水鏡から顔を出したルーガはそう告げると、ザブンっと水に沈むように中へと消えた。そして水鏡はふたたび、何もなかったように光の霧に包まれた。

「ルーガは大丈夫でしょうか?」

 魔物だと間違われて、アレクと争いになったりしたら……。

「オリオンがいますから、大丈夫でしょう」
「オリオンさん……?」
「ええ。ルーガが下界へ降りたときの姿も、この天穹宮での精霊の姿も、両方知る男ですから」

 うっすらと笑むライナスを見上げたとき、ふたたび、水鏡が光る。そして、ルーガが飛び出してくる。

「ルーガっ」
「連れてきたよ」

 ルーガがぴょんぴょんと宙を飛び跳ねて、ライナスの肩へと乗る。

「えっ、もう?」

 まばたきをする間に、入口に二つの人影が現れる。ほんの少し前まで一緒にいたのに、しばらく会っていなかったような懐かしさが込み上げる。

「アレク……っ」

 セレナが名を呼ぶと、弾かれたように彼が走り出す。

「セレナっ! ケガはないかっ」

 駆け寄るセレナを優しく抱き止めたアレクは、両手でほおをつかみ、髪を撫で、何もないとわかると、荒く息を吐きながら、彼女を抱き寄せた。

「無事でよかった……本当に」

 声が震えていた。怒っているはずなのに、抱きしめる腕が優しくて、セレナは必死に抱きしめ返した。

「テオから消えたと聞いたときはゾッとしたぞ」
「ごめんなさい。アレクのそばにいたかったから……」
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