運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「あれほど、待ってろと……。まあ、そんなことはいい。それよりなんだ、あの奇妙な角がある馬は」

 恨み節を飲み込んだ彼は、辺りを見回す。まさか、ライナスの肩に乗る小さな生き物が、ここへ連れてきたなんて思ってもないようだ。

 すると、ルーガがパタパタと羽を揺らして飛んでくる。アレクの周囲をぐるりと回って、彼の顔の前でぴたりと止まる。

「うわぁ、本当にエリアスだね。僕、ルーガだよ。イザベラと一緒にいたルーガだよ」
「イザベラだと?」

 アレクが眉をひそめると、ライナスがなだめるようにさとす。

「ルーガ、アレクシス殿にエリアスの記憶はないのですよ。セレナと同じです」
「そうなの? さみしいなぁ」

 ルーガはがっくりと肩を落とすように、だらりと羽をさげると、ふたたび、ライナスの肩におさまった。

「アレクシス殿、謁見の請願を幾度も断り続けてしまい、失礼いたしました。このライナス、心より深くお詫び申し上げます」

 ライナスがまぶたを伏せると、アレクが目を見張る。

「ライナス……、まさか、教皇猊下。では、ここは天穹宮。大変失礼いたしました。我が名はアレクシス・アルナリア。お会いできて光栄です」
「天穹宮へようこそ。……オリオンも、久しぶりですね」

 深く頭をさげるアレクの前を通り過ぎ、ライナスはオリオンへと近づく。

 ライナスは静かに微笑む。その目に一瞬だけ、懐かしさや憂いの色がよぎる。どこか、居心地悪そうに立つオリオンは、苦笑いを浮かべたあと、胸に手を当てた。
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