運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「ええ、そうでしょう。少なくとも、エリアスと出会うまでは」

 エリアス……やはり、イザベラの運命を変えたのは、彼なのか。

「エリアスは公爵家の子息でしたよね?」

 セレナは確認するように尋ねた。

「アルナリア公爵家は、イザベラの処遇に不満を抱いていました。まだ若い娘が、ただひたすら王族に利用される姿に心を痛めていたのでしょう。そこで、エリアスはイザベラに会いに行きました。彼女が願うなら、普通の暮らしをさせてやりたかったのです」
「エリアスは来たよ。こっそり、夜中に。イザベラの美しさにびっくりしてたなぁ」

 ルーガが楽しそうな声をあげる。

「イザベラも、エリアスに会うの、楽しみにしてたよ。エリアスは、なんでも知ってた。いつも、ふたりで笑い合ってた。僕、エリアスがちょっとうらやましかったよ」
「うらやましいだと?」

 そんな感情が精霊にあるのか? と疑うように、アレクは唇を尖らせるルーガを見て笑った。

「仲間は言ってた。花も風もみんな、エリアスはイザベラに恋してるんだって」

 セレナの胸の奥が、じんわりと熱を帯びる。それが自分の記憶ではないとわかっているのに、心のどこかが懐かしさに震える。

「エリアスはイザベラを連れて遠くの町で一緒に暮らすんだって言ってたよ。でも……」

 ルーガがとたんに悲しげな表情をする。

「でも、エリアスは捕まったんだ。王さまが怒った顔して、捕まえにきた。イザベラは泣いて、どうして、どうして……って叫んでた」

 ルーガの声も体も震えた。

 イザベラの叫び、捕らえられるエリアスも、その純粋な目で見てしまったのだろう。
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