運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「あれもまた、呪いでしょうか」

 ライナスはほんの少し笑む。

「イザベラはエリアスの首筋を撫でたと言います。すると、奇妙な紋様が刻まれました」
「それが、鳥籠の……」

 無意識にセレナはアレクの口もとを見つめた。彼もまた、あごをさすった。

「その刻印を持つものが現れしとき、イザベラはよみがえる──。ライナス1世は精霊の名のもとに約束し、イザベラをほこらに封じました」

 そうして、イザベラは、ふたたび巡り逢えると信じて、眠りについた。

 視界がにじむ。セレナはあわててまばたきをした。それでも、涙がこぼれた。

 あの日の風の音が……、エリアスのやるせないうめき声が、イザベラの前向きな明るい声が、耳の奥で響いている。

『エリアス……、苦しまないで。私たちは必ず、来世で会えるの。この誓いの印がある限り、何度だって』
『何度もか……。何度生まれ変わっても、俺たちは出会えるんだな。ならば、悪くはない呪いだ』
『まあ、呪いだなんて、エリアス。……おかしい』

 イザベラの笑い声が、次第に泣き声になって……ほこらの扉が閉じると号泣に変わる。エリアスの絶望の叫び、それらは彼の原動力となり、王都を襲う魔物たちを殲滅させた。

 イザベラは災厄の魔女として葬られ、エリアスは王都を救う英雄となった。

 しかし、その真実を知る者は、もうどこにもいない。セレナの胸の奥で、どうしようもない悲しみが波のように押し寄せる。

 ルミナリアの王族は地方に逃れた一派を除き、滅びを迎えた。そして、エリアスにより、アルナリア王国が建国された。

 それから二千年、アルナリアはどこにも負けない平和な国として、繁栄を続けている。
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