運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 セレナが一歩、足をさげると、ふわっと金粉が舞い、後ろから大きな羽が身体を包み込んでくる。ルーガだった。

「大丈夫だよ、イザベラ。……ううん、怖がらなくてもいいんだ、セレナ」
「でもルーガ……、どうしたら……」
「イザベラはずっと苦しんでた。どうして、闇の魔力を持って生まれたのって。どうして、お姉さんと違うの……ルーガと違うのって」

 ルーガは優しいまなざしで、角を見せてきた。

「僕も、違うんだよ。僕の兄弟たちは、七色に輝く角を持ってた」

 ルーガの角が光を帯びる。

「だから、言ったよ。違わないよって」
「あなたも苦しんできたの?」

 ルーガは返事をしないが、その瞳はどこか憂いを帯びていた。

「僕が、セレナを守るよ」
「……ルーガ」
「僕が、ついてるよ。……教えたよね?」
「教えたって?」
「イザベラに、僕が教えたんだよ。詠唱なんてなくても、あなたならできるって」
「できるって、どうやって……」
「あなたはもう、僕と心がつながってる。だから、願えばいい。これまでもそうやってきたようにね。想いがそのまま、魔法になるんだよ」

 想いが、力に──

 セレナは胸の前で指を組み合わせ、目を閉じた。

 ルーガが、力を貸してくれている。ルーガだけじゃない。風も樹々も、草花も……。

 闇は滅びの力だ。だから誰もが恐れた。

 けれど、今なら、それを正しいもののために使えると信じられる。

 怨念と化したイザベラから、アレクを救えるのは、私しかいない──

「イザベラ……、もう苦しまなくていいの。エリアスはあなたを一度だって裏切ったことはないのだから」
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